2011年3月1日火曜日

・コンポジットに用いられる構造 ーレイヤーベースとノードベースー

1、階層構造
2、レイヤーベースとノードベース
3、まとめ

1、階層構造
前章にてコンポジットは複数の要素を合成する事を書きました。
”合成する”という工程からそれぞれの要素には必ず階層が発生します。
この階層とは薄い透明なフィルムにそれぞれの要素が印刷されておりそのフィルムを重ねていくようなものだとイメージしてください。
以下に立体的にどのようにして要素が重なっているかを掲載します。
この様に”重ねる”都合上、必ず階層に上下関係が出来てしまいます。
通常、上の階層になるほど前に、下の階層ほど奥になってゆきます。
また全体に効果を与えたい場合は、最上部の階層にその要素を配置してゆきます。
これらの事から以下に、一般的に階層毎に好ましい要素を表にまとめてみました。

階層毎配置要素例
階層 配置すると良いもの
最上層 エフェクト・カラーコレクション レンズエフェクト・色相彩度等
上層 近距離オブジェクト キャラクタ・車・樹木等
下層 遠距離オブジェクト 街並・森林等
最下層 バックグラウンド 空・山・海等
※あくまで、遠近から考えた一例です。
これに準しない場合でも其れは間違いではありません。
良い結果がでればのーぷろぶれむ!
このように目的のイメージへ順を追って考える事ができれば問題無いと思います。

2、コンポジットベース
コンポジットの構造は説明できたと思いますが今説明したモノはレイヤーベースと呼ばれ、現在はノードベースというモノが主流です。
ソフトウェアで区別しますとこのようになります。

・レイヤーベース
After Effects(Adobe Ver:CS5)
Photoshop(Adobe Ver:CS5)
・ノードベース
Nuke & NukeX (The Foundry Ver:6)
Toxik (Autodesk Ver:2011)
Softimage FxTree(Illusion) (Autodesk Ver:2011)
Blender(Blender Foundation Ver:2.56)

綺麗に別けれました・・・・
こうしてみるとAfterEffects対Nukeみたいに見えますが実際そうなんじゃないかと思っています。
さて、此処で其々のUIを見比べてみたいと思います。

レイヤーベース(AfterEffectsCS5)
ノードベース(Toxik(Composite)2011)











大きくそのUIが違いますね。

2-1、レイヤーベース
レイヤーベースはいわゆるシークエンスを用いたノンリニア編集と見た目は同じです。
違いはムービーなどをカットするのではなく、生成する側に回ったという位の違いでしょう。
全ての素材は基本的にレイヤーとして扱われています、此れはPhotoshopと同じような構造という事から直ぐに理解し習得する事が出来るでしょう。
そのために、様々なエフェクトアニメーションを生成することが簡単に出来る点は他の追随を許しません。
えらい人は時間軸があるPhotoshopという例えをしましたが実に的を射ていますね。
しかし、大量の素材を扱う場合レイヤー階層がみるみる増加し、一見して一体どのレイヤーがどの素材か判別為難いという問題があります。(プリコンポーズ・色・フォルダ分けで何とかならなくもないですが)
また、単一の素材で別々のレイヤーに効果を与える場合、多くはレイヤーを複製し割り当てなければならないです。
さらに、どのレイヤーに何のエフェクトが適応されているかと云うのも現在のUIでは解り難いです。
(そういえば、最近ではPhotoshopにも時間軸がついて動画を扱えるようになりましたね、Photoshop単体で編集できるのでコストが減らせますが正直使い難い気がします・・・)

2-2、ノードベース
フローチャートを思い浮かべると良いでしょう。
各工程を流し図に模しているので、どの部分が何の処理をし、何処へアウトプットされているかが非常にわかりやすいです。
つまり、ノードベースは其々の要素(素材・エフェクト)をノード(端末)として振る舞わせ必要な素材を何所からでも引き出す事が出来る様になっています。
此れによってレイヤーベースでネックとなっていた、各素材に何の素材・エフェクトが適用されているかと云うのが一見して判断する事が出来、また同じ素材を個別に用意しなくても一つのノードのみで全てのエフェクトに対応する事が来ます。

さてこの二つの利点欠点を表にしてみましょう。
レイヤー・ノードベースの利点欠点
ベースタイプ 利点 欠点
レイヤーベース 足りない素材をその場で生成できる。 複雑化すると、非常に見辛い。
ノードベース 一見してどのような工程によって構成されているかが見やすい。 足りない素材の生成はちょっと辛い。

3、・コンポジットに用いられる構造 ーレイヤーベースとノードベースーまとめ
コンポジットの方法に2タイプがあることがわかったと思います。
其々、利点欠点があり上手に使いこなすことで映像制作へ大きな力となってくれるでしょう。
しかし、一度に両方の工程を混ぜてしまうと非常にわかりづらく混乱してしまいます。
自分の作業工程を見直してよりよい作品作りへの工程をフローチャートへ書き出しワークフローを考えてみてください。
基盤をしっかりさせることで、より良い作品制作が出来ると考えています。
良い建築は優れたデザインの建造物を言うのではなく、良い地盤・基礎の上にあるモノなのです。
(いろんなところから怒られそうなので。そろそろ・・・)

それでは第2章・コンポジットに用いられる構造 ーレイヤーベースとノードベースーはこのあたりで。
次回・ソフトウェア特性 ー利点と欠点ーまでごきげんよう。

前回:・概要 ーコンポジットとはー